ヒストリエ1巻 岩明均 世界史好きにはたまらない
紀元前4世紀(約2,300年前)、天才的な戦術家として広大な地域を支配した英雄・アレキサンダー大王。
その英雄の書記官を務めたエウメネスの波乱の生涯を描いた歴史漫画です。
●あらすじ
数年ぶりに故郷であるトラキアの都市・カルディアに帰ってきたエウメネス。
だがカルディアは、北西に位置する大国・マケドニアの兵士に包囲されていた。
機転を利かせ、なんとかエウメネスはカルディア内に入ることに成功する。
彼の目的は、幼少期を過ごした実家に戻ることだった。
●良かった点
・リアリティがある
歴史漫画は史実を元にしているため、時代考証が不可欠。
その時代考証がしっかりしているため、リアリティがあり、読み始めると一気に引き込まれました。
紀元前4世紀のギリシア世界における一般市民の生活や軍隊の様子など、世界史好きにはたまりません。
・巧みな人物描写
エウメネスをはじめ、ストーリーを盛り上げる個性豊かな登場人物たち。
彼らの個性は、巧みな人物描写で分かります。
模様の描かれた球体を見て、それが地球儀だと理解できるエウメネス。
当時のギリシア世界の知的レベルを考えると、彼の教養の高さがうかがえます。
哲学者・アリストテレスは、エウメネスの説明を途中で制止し、自分で考え始めます。
この行動で、アリストテレスの知的好奇心の強さが伝わります。
●悪かった点
唯一欠点を挙げるとすれば、ストーリー展開が遅いことですね。
当時のギリシア世界を丁寧に描くことによる弊害、と言えるかもしれません。
展開が遅いことを除けば、間違いなく名作です。
歴史漫画が好きなら、ぜひチェックしてみてください。