- 作品タイトル:王子達は依存する 全1巻
- 作者名:桜田雛
一言感想
全3話のしかない短い作品のなのですが自分自身の人生では絶対に体験することの無い恋愛、そしてその恋愛をすること自体の辛さに胸が締め付けられる、繊細で美麗なタッチが特徴の作品です。
面白いところ。
実の妹に恋する兄と、その兄に恋する継母の連れ子で美形の新しい兄、物語であるからこそこんなにも美しくみられるけど本人たちからしてみたらどれほど痛く切ないことだろうか、と読み進めるほどに苦しくなる大人なストーリーが素敵です。
好きなところ。
単行本の表紙に惹かれて購入しました。とにかく絵が綺麗で登場人物もみんな美人で、特にビスクドールを思わせると表現される椿という男性キャラのデザインがいいです。
好きなキャラ。
この作品の中で一番現実離れしているキャラである椿という男性キャラです。番外編では夢に見てしまうほど良乃という男性キャラに恋しているのですが、ラストシーンでは悪役のままで何も得ることもなく静かに悟るその様子はゆがんでいく人そのもののようで怖くて切ない救われないキャラです。
好きなエピソード。
第2話で椿が良乃を好きになった経緯が読めるのですがもともと同性が好きな人なのか、告白した男の子に「気持ち悪い」といわれ殴られます。そのシーンで椿が「彼なら受け入れてくれると思った」と考えるのですが、そこに恋という気持ちは無いように思えます。彼は恋人ではなく自分を受け入れてくれる誰かを探している、その行為を彼が「恋」と呼ぶならそれ以上の自虐はないし、虚しさに読んでいるこちらが泣きそうになります。
好きなところ。
この作品は雨や薄暗い天気が本当に似合い、本編でも土砂降りの中で良乃が媛子に告白したり、椿が良乃に出会ったり、大事なシーンで雨が降っているのですが濡れた街や公園の遊具がとてもきれいでじっくり見入ってしまいます。
おすすめ。
服や髪形はもちろん、小物や食器などもおしゃれでかわいいです。恋愛漫画なので男性キャラの容姿にはかなりこだわっていると思うのですがそこだけでなく扉絵や細かな服飾小物、背景についてもかなり綺麗で丁寧に描かれているのでそんな小さなところも見逃さず読んでいくのがおすすめです。
作品に関する思い出。
本屋さんで人気新刊のコーナーで抜群に売れていました。恋愛漫画にしてはかなりシックな表紙で、思わず手にしてしまいました。
作者に関して。
cheese!という月刊の少女漫画雑誌ではかなり人気の漫画家さんのようです。どの作品をみてもかなり繊細なタッチで素敵です。
その他。
この作品と同時収録されている弾けた果実という話も兄妹の恋の話でかなりショッキングですが読んでみてほしいです。