2007年放送のアニメを見てファンになってから、ずっと単行本を追っかけて読んでいます!スポーツ漫画系にありがちな、現実的に考えて有り得ない打法や投球が出てくるわけではなく、等身大の高校野球児が練習や試合、学校生活を経ていく中で本当にゆっくり少しずつ成長していくお話です。
ひぐちさん自身がスポーツ心理学を専攻していたということで、実際に野球をしている高校生たちの練習に役立ちそうなメントレの方法や体の鍛え方なども詳しく載っているので、野球関係者が読んでも十分面白い内容になっていると思います。
登場人物たちの性格に細かい個性がたくさんありますが、先ほども述べたように高校生にしてはありえない体格や野球技術の持ち主がいるという意味ではなく、主人公が超卑屈であったり、野球のセンスはあるのに勉強はからっきしであったり、といった感じです。そんな個性の強い人たちがはじめましての状態から少しずつ関係を気づき、お互いに切磋琢磨しながら自分たちの目指す野球の形を作っていくのが心理描写も含め本当に丁寧に書かれているので、人物関係が日々移ろう様を見るのがとても面白いです。なので野球をしている部分以外のストーリーが個人的にはすごく好きですし、キャラクター同士の野球外のやり取りは全部お気に入りです。
29巻では秋の4市大会初戦の続きに始まり、その試合の決着は時間以降に引き継がれます。リベンジに燃える崎玉高校の強力打線に対抗する西浦高校とバッテリーですが、夏の大会に出場できなかった石浪くんの力が大きすぎて試合は崎玉優位でした。石浪くんはバッターとしてはとても優秀なのに、ランナーとしては最高に役に立たないのがかわいいギャップだなと思いました。夏の大会では崎玉高校がチーム全体を通してまだまだ未熟でしたが、コールド勝ちを西浦に許してしまったリベンジを胸に秋までチームごと強化を頑張ってきたのが目に見えてわかる成長ぶりだったので、モモカンの台詞にもありましたが「1人いい打者(石浪くん)が加わっただけじゃない、崎玉の子はみんなこの4カ月頑張ってきたんだ」と感動しました。
ついこの前まで選抜高校野球が開催されていましたが、高校生の野球における可能性は本当に無限大だと思っていて、9回裏ツーアウトの追い込まれた場面でサヨナラホームランを打つ選手だってごろごろいます。プロになるとなかなか大差の負けをひっくり返すドラマチックな試合ってないように感じているので、良い意味でも悪い意味でも心身ともに伸び白が広い高校生の試合は面白いです。そしてそれはおおきく振りかぶってに出てくる高校野球児たちにも、同じことが言えるのではないかなと思います。
試合の決着はまだ先のようですが、崎玉バッテリーが交代したことで西浦がますます追い込まれるなど予想できない展開がまだまだ続きそうでうすので、節目ともなる30巻に期待です!(すでに待ち遠しいです)