「ラストゲーム」10巻 天乃忍・著
合宿にやってきた天文サークルのメンバーたち。柳に思い切って告白しようとした九条さんでしたが、勇気が出ませんでしたね。人に気持ちを伝えるのはこんなに怖いものだったのかと気づく九条さんが、とても人間らしくて好感が持てました。察してくれない柳を鈍感だと非難する九条さん。
誰よりも鈍感な自分のことは棚に上げていて、その点に激しくツッコミを入れずにはいられない柳が面白かったです。
そして、柳のお父さんが初登場しました。予想通り、やり手のエリートビジネスマンといった雰囲気の人物で、さっそく九条さんを呼び出して「息子とは釣り合わない」と宣言。しかし全く動じない九条さんのことをすっかり気に入ったようで、よかったです。九条さんも、亡くなった自分の父の面影を重ねていたのかもしれませんね。
物語も佳境に入ってきたようですが、柳はやはりアメリカへ行く道を選ぶのでしょうか。用もないのに電話をかける仲になった九条さんと柳を、微笑ましく眺めながら読み進めました。