「ラストゲーム」9巻 天乃忍・著
カギを忘れて家に入れなくなってしまった九条さんは、成り行きで柳の家に泊めてもらうことになります。ピアノを弾く柳がとても意外で、印象に残りました。九条さんは音感がまるでないことは前回のカラオケの一件でよくわかったので、偉そうに振る舞う柳が面白かったです。
それにしても、どうしたら自分のことを好きになってくれるんだろう、とお互いに思っている九条さんと柳のすれ違いが、何とももどかしいですね。柳のお母さんや祖父母をはじめ、周囲は勝手に二人を恋人同士だと決めつけているところがまた切ないです。九条さんのことになるとまるで余裕がなくなる柳は、パニックになってうずくまる場面がますます増えている気がします。柳との関係を一歩進めたい九条さんですが、思い込みの激しさもあってますます距離が遠のいてしまう展開は哀れでした。
また、この巻では柳の卒業後の進路についてもちらっと触れていて、抱えているものが多い御曹司も大変ですね。柳を溺愛しまくるおばあちゃんはおかしかったです。