「逃げるは恥だが役に立つ」1巻 海野つなみ・著
主人公である25歳のみくりは、大学院まで出たのに就職内定がもらえず、派遣社員となりますが派遣切りにあってしまいます。仕事の見つからないみくりを見かねた父の紹介で始めたのは、独身サラリーマン津崎の家事代行業務でした。
快適な雇用関係を築いたみくりと津崎ですが、みくりの実家が引越しをすることになってしまいます。現状を維持したいがために、二人は契約結婚することを決めるという一風変わった恋愛マンガです。
不景気の日本しか知らない若者、恋愛に消極的な若者が増えている今の時代を投影するような作品で、考えさせられるものがありました。知性がありしっかり者で好奇心旺盛なみくりは、思わず応援したくなるようなキャラクターです。みくりの頭の中の妄想が、たびたびテレビ番組風な盛り上がりを見せるところには笑いました。現状に満足してそれ以上を求めてこなかった津崎が、みくりと出会って「安心とは人が与えてくれるものなんだ」と気づいたシーンは、深いなぁと思わずため息がもれてしまいました。