赤ちゃんと僕 まさか実君が生死をさまようなんて
赤ちゃんと僕の最終回を読んだのは、まだ学生時代のころでした。電車の中で嗚咽がでる漫画なんてめったに出会えるものではありませんが、小さい時からの成長を見守ってきた実君に生死の境をさまよわせるなんて、泣くなという方が無理ってなものです。
羅川先生も何というストーリーを最終回に持ってくるんだと、恨みごとの一つでも言いたい気分でした、本当に。
いえ、だってね、赤ちゃんと僕は、そもそも、お母さんが交通事故でいきなり亡くなって、まだ小学生のお兄ちゃんと男前のお父さんが協力して、小さい弟の実君を育てていくというお話なんです。その実君が、お兄ちゃんとの喧嘩の末、事故にあうという展開だなんて、どんだけ不幸にすれば気がすむんだと言いたくなるところですよ。しかし、実君の危篤という事態を前にして、パパや拓也がする苦悩がまた泣かせてくれるんです。
最後の言葉が「実なんか大っきらいなんだから」になってしまったお兄ちゃんの後悔、パパの、両親や奥さんだけでなく、子供までも事故で無くしてしまうかもしれないという運命に対しての悔しさ、もう見てられないほど辛いんです。
最終回を読んでから数年、いまだに忘れられない漫画です。ハンカチ5枚くらい準備してから読むことをお薦めします。