医龍(漫画):人が立ち上がる姿は美しい。医龍はあらゆる意味で再生の物語。
先日出張先で移動時間の友に「医龍」のコンビニコミックを購入しました。
ほんの暇潰しのつもりでしたが、列車の中で涙がぼろぼろと流れてきました。
大学病院の医局での物語が「医龍」の舞台ですが、最終回では主人公・朝田の盟友・加藤がついに教授になります。
教授選の結果、数多の敗者が産まれていきます。しかし実は彼らは、教授選を通して、それぞれ様々なものに打ちのめされている人々であることが描かれていきます。
才能の違いであったり、家族の離反であったり、自らの健康であったりそれは様々です。
特に手痛い挫折を強いられたのは加藤に破れ去り、大学を追われた霧島です。
もはや再起不能と思われた霧島は、加藤に才能と華というものの違いをまざまざと見せつけられて、誰の見送りもなく背中を丸めて大学を去っていくのです。もう医師として、目指した輝かしい教授のイスは絶対に手に入らないのです。
しかし霧島は、イルカの骨格標本を見て呟きくのです。
「たとえ骨になっても、海へ帰りたいに違いない」
すべてを失い、骨だけになった霧島ですが、それでもただ病院に帰りたいと気づくのです。
どんなに強い者でも人生を戦えば傷を負うのです。
彼らは傷を負わないから強者なのではないのです。
傷を負っても再び立ち上がるから強く、そして美しいのだと、はっと気づかされます。
生まれてきたからには立ち上がらなければならないのです。足掻くことはそれだけで尊いのです。
伊集院が語りかけます。
それができる者こそが英雄なのだと。清々しい感動とともに余韻を残しつつ、スパッと医龍は終わります。
ぜひ、御覧下さい。