一言感想:生とは?死とは?どんどん先が気になってしまう、どんどんハマっていってしまう、壮大なファンタジー。
面白いところ
テンポよく展開するストーリー、多彩なキャラクターとそれぞれの過去や未来、思惑。一見複雑になってしまいがちなほど、国家規模のストーリーなのに、敵は誰なのか、主人公がしたいことは何なのか、ということがブレず、ぐいぐいと引き込まれていきます。勧善懲悪かと思いきや、主人公達は物語の前提で、禁忌を犯していて、ただ悪を断つだけではなく、錬金術という方法を用いて、生と死や戦争、人とは、という大きな問題切り込んでいきます。重くなりがちのテーマも、主人公の前向きな性格や随所に散りばめられた笑いどころで、読んだ後とてもすっきりします!
好きなキャラ
たくさん居すぎて選ぶのが難しいくらいですが、ロイ・マスタング大佐という、国家の軍に属する焔の錬金術師が好きです!口が悪く、白黒はっきりした性格で、ただの女たらしかと思いきや、とても賢く強く、仲間思いのマスタング大佐。仲間を想う気持ちや、どんな困難な状況でも冷静に状況を判断し、最後まで諦めない姿は、こんな人が上司だったらとっても素敵!容姿の格好良さは女性に人気かもしれませんが、彼の信念とここぞという時に発揮する頼りがいは、きっと男性でも憧れるはず!
好きな台詞
「人は何かの犠牲なしに何も得ることは出来ない」等価交換という考え方が元となるお話ですが、耳に痛い言葉だなあと思うと同時に、納得してしまいました。頑張ったら頑張った分だけ得るものがあるけれど、何もやらないうちは何も得られない。それを犠牲と呼ぶのか努力と呼ぶのかは人によるとは思いますが、欲しいものがあるならそのために何かしら自分で行わなければならないな、と改めて思い知らされました。
作者に関して
荒川弘さんといえば、この「鋼の錬金術師」か「銀の匙 Silver Spoon」で知っている方もいるのではないでしょうか。この2作で数々の賞も受賞されています。実はこの方、女性なんですよね。知ったときはとても吃驚しました。戦闘系の漫画から、ほのぼのしたものまで多彩な作品を描かれている荒川さんに、これからも期待してしまいます!