磯部磯兵衛物語~浮世はつらいよ~第98話「拙者家庭的な武士になるで候」、思い当たる節が多すぎます。
今週は、私の好きな日常あるあるネタ磯兵衛でした。98話の家事のお手伝いだけでなく、97話の大福ラスト一つを巡る心理戦も頷きっぱなしでした。
「たまには家の手伝いでもしようか?」
この言葉の圧倒的に思い当たる感じ、さすが磯兵衛です。私も親と同居していた時はたまにドヤ顔で同じようなセリフを吐いていたものです。しかもその発言の動機が『いい恰好したい』、『他人に良く思われたい』なあたりも心当たりがありすぎて、読んでいるだけで胸をかきむしりながら床をゴロゴロ転げ回りたくなるような痛痒さ。
お手伝いできないぐらいの小さな子供ならともかく、自分の食べた食器なのにね!自分が汚した廊下なのにね!いざやってみると普段やり慣れないものだから上手く行かないわ時間がかかって疲れるわ、やらない方が返って迷惑にならないようなありさま。
けれど、どんなプロも最初は素人です。家の中で家事を担当してくれている人も始めたころは手際が悪いのを繰り返し作業して習得したのだし、また毎日の作業の繰り返しでモチベーションを保つのは難しいものです。
磯兵衛の家は母上に家事を一任することで円満解決しましたが、世の母親が全員磯兵衛の母上のような無限に広がる偉大なる愛を持ち合わせているわけではありません。あまり家事をしたことが無い人も、たまには「お手伝い」ではなく自分の部屋の掃除や食べたものの皿洗いをしたらいいと思います。
徳川さんちの御兄弟や北斎先生といった偉人キャラが出てくる編も好きですが、磯兵衛のこういう身近なネタが本当に面白いです。日常でやらかしがちな馬鹿馬鹿しい行動を浮世絵っぽい絵柄で描かれると、共感しながらくすっと笑って脱力できます。