MONSTERの最終回 やっぱりあの後味の悪さがいい!
浦沢直樹のMONSTERの最終回は、何度呼んでも興味深いです。双子の兄のヨハンしか知らない、本当に怖いこと。母親は双子のどちらを連れていくか、選ばされていました。
「こっち・・・いえ、こっち」と言ったあのシーンは、今読み返してみても残酷です。それに対するヨハンの「いらなかったのは、どっち」という台詞も悲しい。ヨハンがしきりに「君は僕で、僕は君」とニナに言っていた意味もわかります。同一視しなければ、双子の間に違いが生まれてしまう。
それも、自分たちの愛する母親という無二の存在に。どっちが必要で、どっちがいらないのか・・・はなはだ惨い選択です。いったい、双子のどちらがいらなかったのかは明らかにされていませんが、どちらにせよ、ヨハンの心に一生かかっても癒せないほどの大きな傷を残してしまったのは事実です。
だからこそ、死んだはずの自分をもう一度、生き返らせてくれたDr.テンマが、ヨハンにとっては親以上の存在になったのでしょう。そして最後、テンマが病室へ向かうと、ヨハンの寝ていたベッドはもぬけの殻で、カーテンは開きっぱなし、殺人鬼は行方知れずで幕を閉じました。賛否両論がありますが、私は非常にうまい締めくくり方だと思います。なんとなく、羅生門を思い出しました。