一言感想
クリスマスのちょっと切ない、だけど心温まる心霊現象。
面白いところ。
心霊現象を解決・研究する渋谷サイキックリサーチでアルバイトする主人公・麻衣は、所長のナルたちと、エクソシスト・ジョンの知り合いの神父の依頼で協会に訪れます。
協会ではたくさんの子供を預かっているのですが、昔そこで預かっていたケンジくんという男の子が、かくれんぼの最中に行方不明になり、そこからケンジくんが他の子供たちに憑依するようになる…。
本編のような身の毛もよだつ本気の怖さはなく、麻衣の明るさや諸々で、途中はわりと笑って読めました。
ケンジくんは、誰かに憑依すると、自分の好きな遊びであるかくれんぼ。
そして、誰かに見つけ出してもらえるまで出てこないのですが、それはいなくなってしまった自分を見つけ出して欲しいケンジくんの訴えであること、自分を預けて仕事に行ってしまったお父さんの帰りを待っているのであろうことなど、ちょっぴり切なさもありました。
誰にも見つけてもらえず死んでしまう直前、いつか大好きなお父さんが自分を迎えに来てくれる、ここに隠れて誰にも見つけてもらえない自分を、お父さんなら絶対に見つけてくれるよね、と信じて笑みをこぼす姿には、じーんと胸に来ました。
何だか心温まるお話でした。
そんな気持ちを感じながらも、心霊現象を解決するために来ているのに、クリスマスに協会なんてロマンチックと浮かれる麻衣の朗らかさに癒されました。