カバー表紙からして素肌に赤い甲冑を身にまとった艶めかしくも勇ましい姿が美しい城主の景虎。この巻では女性として男を乗り越える話としても読めます。
武田晴信と偶然に温泉で裸同士のまま出会って、しかも迫られてしまった時に、彼女が感じた「男への恐れ」がキーポイントになっています。美しい女性と成長した彼女も「女」として「男」を知る時期にかかっているということですね。
男を知らないうちは男を恐れてしまう気持ちは理解できます。その男への恐れはこれからの合戦でも影響してくると感じた彼女は、幼い頃から彼女を知る僧、宗謙に自分を抱くように命令をします。恋愛感情というよりは、男を恐れずにすむように、男を知っておかないといけないという決意からでしょう。
また、以前、宗謙に女性として見ているという愛の告白のようなものを受けていたことも彼女の心に残っていたのだと思います。ですが、彼女の心は既に大きな次の戦いに向かっています。男を克服した彼女が今後どんな変化を見せ、闘っていくのかが気になります。