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闇の土鬼(横山光輝)最終回感想ネタバレ注意!無明斎が最大最後の敵ではなくなり、土鬼を…(あらすじ)。

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『闇の土鬼』マンガの鉄人・横山光輝の隠れた名作の最終話とは!素晴らしき死に様に震える。

『鉄人28号』『魔法使いサリー』『三国志』など様々なジャンルにおいて後世に多大な影響を与えた巨匠の1人である漫画家・横山光輝。彼も数多くの傑作を残していることで有名だ。
1973年から1974年まで『週刊少年マガジン』にて連載していた『闇の土鬼(やみのどき)』も、その1つである。先に挙げたタイトルに比べれば圧倒的に知名度は低いが、私のような横山ファンからは「隠れた名作」として名を挙げる者も多いのではなかろうか。

幼き頃から「裏の武芸」を父から教え込まれていた隻眼の青年・土鬼(どき)が、徳川家康が結成した暗殺集団「血風党(けっぷうとう)」に父を殺され、長である無明斎(むみょうさい)を倒すための旅に出る。この土鬼と暗殺集団が戦いに用いるのが「裏の武芸」である。指先だけで小石を弾いて敵を殺傷する「霞(かすみ)のつぶて」や7つに分離可能な棒状の武器である「七節棍」など、忍術合戦のような技や武器の応酬に、読んでいる間は身体が熱くなりっぱなしである。

しかし無明斎が最大最後の敵ではなくなり、土鬼を弟子にとるという展開にはド肝を抜かれた。てっきりラスボスかと思っていたのだが、確かに無明斎は血風党を残す生存の道を模索していただけであり、決して悪逆非道として描かれてはいなかったのだ。幾度も襲いくる土鬼を認め、許し、そして己の築き上げてきた全てを授けようとする気概は、同じ男として心から尊敬する。受け継いだ力で柳生十兵衛を打ち倒すシーンにはグッとくるものがある。

たった1人になった無明斎は「ながらくせわになったのう。わしとともにほろんでくれい」と呟いて城に火を放つと、炎の中で腹を切って果てた。部下を全て逃がし、1人で死んでいった彼は孤独だろうか?いや、無明斎は己が生きてきた証を残した。土鬼によって裏の武芸は天下最強となり、後世に語り継がれていくだろう。己の人生を全うした生き様、「わしにとって、もはやなにも思いのこすことはない」という言葉を口にできる潔さこそが、誰もが最期に辿りつきたい境地なのではないか。1人の人生が終わっても、子孫が続けば、歴史は終わることがない。人間が長い間、当たり前にやってきたことの素晴らしさに涙が出るラストである。