エースをねらえ!
フツウの高校生・岡ひろみが、突然現れたコーチ・宗方仁に見い出され、数々のライバルに出逢い、幾多の試練を乗り越え、日本のトッププレイヤーとなるまでの元祖スポ根少女漫画である。
単なるシンデレラ・ストーリーでなはい。平凡だった岡ひろみの日常が、宗像との出逢いによって、劇的に変化を遂げていく。最初は極悪非道とも感じる宗像の冷徹さは実は愛情・情熱に満ちたもので、読み進めて行くうちにそれが解き明かされる。岡をはじめとしたキャラクターたちだけでなく、私も巻き込まれた。
皆が宗像を理解し愛した頃に、彼は27歳という若さでこの世を去る。不慮の事故により選手生命を絶たれた彼が追い求め、心を鬼にして愛情を注ぎ育て上げた理想のプレイヤー・岡ひろみが世界へ飛び立つ瞬間に、絶命する。何度読んでも、大号泣せずには居られない名場面だ。
劇画タッチの絵柄なので抵抗があったが、何度も読み返すほど癖になっている。疲れた時にこれを読むと、明日への活路が見いだせそうな気がする作品である。